[甲陽学院(甲陽)新中1(現小6)]合格発表後、入学に向けて準備しておくこととは?
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甲陽学院中学合格発表後、受験の解放感から一気に勉強しなくなる生徒がいます。最善のスタートを切るためにも、入学前の情報収集は必ず行っておきたいところ。本記事では、新中学1年生向けの学校・定期試験情報を発信しています。甲陽を指導して約20年の実績と経験から、中学生活を送るうえで気を付けるべき英語・数学の学習のコツをお伝えします。
◆新中1生のための甲陽学院中学(甲陽中)の英語◆
【1】使用教材、進度等について
中1甲陽において英語の授業は、英語Ⅰ(2019年度は石井先生)、および英語Ⅱ(毎年外国人の先生)の二本立てで行なわれます。使用教材ですが、現中1の英語Ⅰのメイン教材はProgress in Englishです。過去の甲陽学院の多くの学年はProgress in Englishを使用してきましたが、現中2はNew Treasure(準拠問題集も)を使用しています。いずれにせよ、中高一貫校用のハイレベル教科書です。進度としては中学3年間で1~3までの3冊を終了し、中学~高校英文法を一通り終える内容になっています。
<Progress in Englishの特徴>
・語彙数が多い
・検定教科書よりも難易度が高い
・文法事項が整理されており、体系的な学習ができる
・4技能にとどまらない総合力が強化できるよう編集されている
・配列(カリキュラ)が一般的な教科書とは違う。(ところどころに中学時には習わないであろう高校内容が入ってきます。)
英語Ⅱに関しては例年、検定教科書とその準拠ワークが使用されています。英語Ⅰと異なり、英語Ⅱの検定教科書は、中2の秋口(およそ10月~11月頃)に3冊目が終了するのが例年の流れになっています。
また、Progress in Englishや検定教科書以外にも副教材として実力練成テキストや、シリウス発展編、あるいは新中学問題集発展編といった問題集が、主に家庭学習用として配布されており、時々提出が求められることもあり、それらもまた定期考査の範囲となります。
※副教材の選択・使用方法は先生によって異なります。
【2】定期考査等について
(1)定期考査日程
5月 | GW考査 | 10月 | 2学期中間考査 |
1学期中間考査 | 12月 | 2学期期末考査 | |
7月 | 1学期期末考査 | 1月 | 冬期課題考査 |
9月 | 夏期課題考査 | 3月 | 学年末考査 |
基本的には上記の表のような予定ですが、学年によっては9月考査、11月考査、2月考査なるものが上記以外に実施される場合があります。5月のGW考査は毎年実施されていますので、今年も恐らく実施されると思われます。つまり皆さんが中学に入学して初めて受ける試験はこのGW考査となります。
この中でもとくに重要な試験は、
①1学期中間試験
②夏期課題考査
③2学期期末試験
です。GW考査は行われることが多いですが、こちらは中テスト的な意味合いが強く、オフィシャルな大きな試験ということですと1学期中間ということになります。まずはここを何としても乗り切らなければなりません。次に、夏期休暇明けの課題考査。こちらは生徒間で大きな差が開くテストです。さらに11月に「音展」と呼ばれる文化祭のようなものが実施されますので、生徒の気が緩む2学期期末のあたりが特に重要です。
(2)試験範囲
英語Ⅰ、英語Ⅱと分かれていますが、特に苦労するのが英語Ⅰです。それは使用教科書の難しさと範囲の広さによるものです。今までの甲陽学院の進度から言って、一回の試験範囲は大体Lesson4つ~5つ分ぐらいです。これらの範囲をしっかり学習するためには早め早めに試験勉強をスタートする必要があります。試験一週間前から始めても到底間に合う量ではありません。
【3】以上を踏まえて、入学までに準備しておく必要があること
担当する先生によって毎年やり方が違います。しかし、やり方が違っても勉強するのは同じ英語です。どのようなやり方をされても対応できるように以下の6点が肝要です。
①入学時までに1学期期末試験内容までを履修すること
②単語の覚え方を確立してから入学する事(見て、読んで、聞いて、書く)
③手帳などのスケジュール管理の方法を学んで練習しておくこと
④息抜きもきちんと行なっておくこと
⑤入る部活の情報をできる範囲で集めておくこと(知り合いの先輩に聞くなど)
⑥生徒にいきなりすべて任せないこと(ある程度は保護者のサポートが必要です)
入学前に頑張ったことが生徒の財産です。気を抜かずに取り組んでおきたいですね。
【4】その他
―長期休暇について―
長期休暇(夏休みや冬休みなど)では大量の宿題が課されることになります。もちろん宿題をやりきることは当然として、休み明けには課題考査が実施されます。他の学校では始業式の翌日以降に課題考査が実施されることが多いのですが、甲陽では大概始業式の当日に実施されます。休暇終了間際になって慌てないように、日頃から計画的に課題をこなしていきましょう。もちろん間違えた問題の見直しも忘れないように。
―筆記体について―
甲陽学院中学では例年2学期から筆記体で書くよう指示されます。定期考査では筆記体で解答しなければ採点してくれません。毎年そうですが、最初に変な癖のある筆記体を身につけてしまい、非常に読みにくい文字を書く生徒がいます。一度身についてしまうとなかなか修正がききません。最初が肝心です。丁寧な筆記体を身につけられるよう最初から意識して取り組みましょう。 ※指示の無い学年もあります。
―電子辞書について―
最近は高性能の電子辞書が多く売られており、うまく活用すれば英語力増強に役立ちます。しかし電子辞書を使っている生徒を見ていると、多くの生徒は単なる「楽をする道具」として使用しています。これでは電子辞書の意味がありません。電子辞書の使用には注意が必要です。
―共通点―
今まで多くの生徒を見てきた経験から、全ての生徒に当てはまる訳ではありませんが、甲陽でうまくやっていけない(または途中からやっていけなくなる)生徒の主な共通点を挙げておきます。
①文字が乱雑である
⇒日ごろから丁寧に書くよう意識しましょう
②身の回りの整理整頓がきちんとできない
⇒鞄の中も整理するようにしましょう
③丸付け・間違い直しがきちんとできない
⇒適当にすれば、適当な学力しかつきません
④時間の使い方が下手である
⇒優先順位を意識しながら日々過ごしていきましょう
⑤座る姿勢が悪い
⇒姿勢が悪いとあらゆる所に悪影響が出てきます
⑥「学校で習っていない事は分からない」と考えている
⇒「学校で教えてくれるのを待つ」という姿勢は、いわゆる「進学校」では通用しません。たとえ学校の授業でまだ習っていなくても、自分から先の内容を学習しようという積極的な姿勢を持つ必要があります
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◆新中1生のための甲陽学院中学(甲陽中)の数学◆
【1】カリキュラム・テキスト
●カリキュラム
学年により多少の前後はありますが、カリキュラムはおおむね次の表の通りです。
代数 | 幾何 | |
一学期 | 正の数・負の数 文字式の計算 方程式・方程式の文章題 《中間考査》 連立方程式 1次不等式・連立不等式 連立不等式の文章題 《期末考査》 | 平面図形 空間図形 投影図・作図 《中間考査》 三角形の合同 二等辺三角形・直角三角形 平行四辺形の証明問題 《期末考査》 |
二学期 | 比例・反比例 1次関数 《中間考査》 展開・因数分解 平方根 2次方程式 《期末考査》 | 相似・線分比 メネラウス・チェバの定理 円周角 《中間考査》 三平方の定理 空間図形と三平方の定理 《期末考査》 |
三学期 | 2乗に比例する関数(2次関数) (+高校内容) 《期末考査》 | 場合の数・確率 (+高校内容) 《期末考査》 |
※2019年度の進度
代数
1学期の中間・期末試験の傾向を分析してみると、難問は出題されていません。計算問題と文章題の比率もほぼ半分ずつと固定されています。甲陽の定期試験の特徴は、計算量が非常に多いことです。例年の1学期の中間テストですと小問を合計すると25問以上になります。50分ですべて解ききるには、小問1つにつき2分以内に解かなければいけません。日ごろからの計算練習がきっちりできているかどうかがポイントになります。そのため、計算ミスをなくせることが成績上位になるための要素の一つになったと言えます。
幾何
幾何の問題も標準的な問題が中心です。ただ、難易度がやや高めの問題も多く出題されます。幾何も問題数が多く大問で9題、1学期のテストだと小問を合計すると25問以上になります。後半には証明(説明)の問題が大問で2題出題されています。証明問題は解答を作るのに時間がかかるうえ、学校の先生の指示通りの解答を作らないと減点されます。成績上位を狙うには、文章による証明で減点されない解答を作ることが重要です。幾何の問題では、多くの場合、証明がきっちりと論理立ててかかれていることが成績上位になるための要素の一つになっています。
長期的には、高1中盤~終盤にかけて数学ⅡBまでの単元学習をすべて終わらせて、あとは数学Ⅲと並行しながら大学入試に向けて演習に取り組むように中高6年間を通して計画しています。その中で、中学範囲は比較的易しいので中学1年生の1年間で一般の中学約3年分を進みます。また、中高一貫校のメリットを活かし、「履修学年による無意味な単元切断(例えば比例・反比例と1次関数など)」を避けた学習効率の良いカリキュラムを採用しています。このようにカリキュラムを前倒しで圧縮することで、大学入試に向けての演習時間・量を確保していく方針です。
授業の特徴としては、授業時に毎回のように宿題が出されます。普通にこなしていては1時間程度かかり、少し油断するとすぐに学習が後手に回りがちになります。毎日のこの課題プリントをいかに早くこなすかが甲陽中攻略のポイントです。そのためには、学習進度を学校よりも先行し塾(コラボ)→学校→課題という順に「同一内容を2回学習する」というサイクルを早期に固めると効果的です。
・テキスト
使用教材は年によって異なります。参考までに5年分のテキストをあげておきます。
2019年:甲陽中学オリジナル教材
2018年:実力練成テキスト 中高一貫体系数学 2017年:シリウス数学
2016年:プライム数学 2015年:体系問題集(発展編)
2019年のテキストは2018年に使用された実力練成テキストとほぼ同レベルのものです。豊富な問題量・難易度の比較的高い問題が多いことが特徴の問題集です。発展問題はかなり難易度の高いものも含まれます。実際の定期試験ではこの問題集のレベルに沿った問題が多く出題されていました。定期試験ではただ単に解き方を聞かれているのではなく、その単元が本当に理解できているかが問われる試験問題が出題されていました。また、夏休みや冬休みの課題として、それまでに学習した内容の復習に加えて、未習単元の予習内容も課されていました。
● 一般的な甲陽中の数学の進度
中1 | 中学範囲〔代数〕終了・中学範囲〔幾何〕終了・一部高校範囲 |
中2 | 高校範囲数学ⅠA終了+高校範囲 数学ⅡB(図形と方程式) |
中3 | 数学ⅡB終了+数学ⅠAⅡB演習 |
高1 | 数学Ⅲ(一部)+数学ⅠAⅡB演習 |
高2 | 文系 数学ⅠAⅡB入試演習 理系 数学Ⅲ+数学ⅠAⅡB入試演習 |
高3 | 文系 数学ⅠAⅡB入試演習 理系 数学ⅠAⅡBⅢ入試演習 |
※学年により調整あり
【2】定期試験について
代数
難易度の高い計算問題が20問近く出題されます。文章題や言葉を使った説明問題も出題されています。時間をかければ解ける問題ですが、1問2分以内で解かないと、後半の文章題(配点が高い)を解く時間がなくなります。日頃から計算練習を怠らず、速くかつ正確に計算することが求められます。
幾何
式と答えのみでは正解と認めない、ていねいに説明しなさいと要求されています。答えだけ合っていても大幅な減点をされます。先生が授業で教えたとおりの説明をすることが要求されています。
【3】数学学習をはじめるにあたり
・スタート時の注意点
算数ではいかに頭の中で計算をして答えを早く導くのかが重要でしたが、そのために答案を書くことができない生徒が多いのも事実です。答えのみを求めるのは、センター試験と一部の私立大学までであって、その他は答えのみあっていても答案として採点者に伝わらなければ0点になります。普段の勉強から途中計算や考え方を記入する癖を付けておきましょう。男子生徒(特に灘中と甲陽学院中の生徒)は、計算は暗算で行い答えのみをノートに書いていることが多いです。これでは、間違っていてもどこで間違えたのかわかりません。本人が後から見直してもわからないことが多く、講師がアドバイスしようにも生徒がどこまで理解しているのか生徒本人にもわからない場合が多々あります。例えば方程式の文章題で、立式は合っているが途中計算が間違えた場合は、根本的には理解しておりテストの際は計算ミスをしないよう注意し、検算を行うようアドバイスができます。しかし、式も書いていない場合は式を作れるかどうかの確認から行う必要が出てきます。これでは、生徒が理解していても講師がそれを確認するのに時間がかかります。毎回式や考え方を書くのは時間がかかり面倒なようですが、実はテスト前の時間がないときには逆に時間節約になるのです。
また、学年が上がると定期試験で答えのみを書かせる問題の割合は減り、考え方を書かせる問題がほとんどを占めます。ある中学校の中3生の答案では、答えは合っていたが途中計算の説明不足で10点満点の問題が0点になっていました。再度繰り返しますが、答えは合っていたのに10点中0点です。これは極端な例ですが、途中計算をしっかりと書くように心がけ、答案を先生に読んでいただくという気持ちで試験に挑む必要があります。
・学習方法の提示
「数学の先取り学習はなぜ必要なのか」将来理系に進まれる場合数学のほかに理科が必要となります。また、物理,化学,生物と3科目必要な場合もあります。物理,化学を得意科目にするためにまた正しい知識を身につけるためには数学の知識が必要です。
数学は、数学Ⅲを学習してこそ全体像(なぜ、この単元の学習が必要なのか等)が見えてきます。将来の志望校に向けて最も回り道をしない最短距離を行くには出来るだけ早い時期に数学Ⅲを学習することであることを念頭に置いていただきたいと思います。
【4】大学受験実績
・甲陽学院 大学入試状況
( )は現役生
年度 | 東大 | 京大 | 阪大 | 神大 |
2018 | 34(24) | 49(36) | 23(13) | 13(8) |
2017 | 39(34) | 51(35) | 21(13) | 14(7) |
2016 | 29(20) | 54(42) | 28(16) | 16(13) |
2015 | 28(20) | 67(47) | 26(22) | 16(9) |
2014 | 24(16) | 67(47) | 37(17) | 17(8) |
2013 | 11(7) | 51(38) | 26(18) | 12(11) |
2012 | 25(12) | 67(47) | 31(17) | 17(8) |
なお、2018年度大学入試で現役で国公立大に合格した生徒数は合計114人です。
そのうち、医学部医学科は33人でした。
●甲陽から東大・京大・医学部を狙うには、上位40番以内が目安
一般的に、甲陽中高では、成績下位(平均以下)からの一発逆転は難しい傾向があります。学年が若いうち(高1以下)は、学校の成績を重要なバロメーターと位置づけ、定期試験をペースメーカーにして学習をすすめるといいでしょう。
高2以降は、学校成績よりも模試の成績が重要です。大学受験においては単元理解に加えて応用力が問われることや、受験者数の分母が大きいので全国レベルの中で客観的な位置づけを判定できることなどが理由です。
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